最高裁判所第二小法廷 昭和40年(あ)1402号 決定 1966年4月18日
主文
本件各上告を棄却する。
理由
被告人杉橋弥一郎の弁護人前堀政幸の上告趣意は、事実誤認、単なる法令違反の主張であって、刑訴法四〇五条の上告理由に当らない(公務員が保証人となっているその親族の金銭債務を立替弁済してやる行為は、その公務員が債権者に対して負担する保証債務を免れさせ、これに法律上の利益を与えることになるのであるから、右行為がその職務に関して行なわれた以上、その利益を得た公務員について刑法一九七条一項の収賄罪が成立するものと解すべきである)。
被告人林丑夫の弁護人大井勝司の上告趣意は、事実誤認、単なる法令違反の主張であって、刑訴法四〇五条の上告理由に当らない(記録に徴するも、所論同被告人および足立佐吉の捜査官に対する各供述調書に任意性を疑うべき点は見出されないとした原審の判断は相当である。)
よって、同四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 奥野健一 裁判官 山田作之助 裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 石田和外)